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天才デザイナーの軌跡と天才ゆえの苦悩と、それらの全てを支えたパートナーとの日々がどれほど偉大なものだったか、オリジナルピアノ曲の流れる中淡々と、そして深く綴られていく映画でした。
イヴ・サンローランとピエール・ベルジェの邂逅と繋がりはほとんど奇跡でしょう。天才が天才であるには陰・あるいは対となる存在は絶対必要なのだと常々思っています。イヴもだろうけれど、ベルジェがどれほどイヴを愛し、慈しんでいたか。ひとり残されたベルジェの表情には寂しさや悲しさというより全ての事をやり遂げた男の達成感のようなものを感じました。そして孤独。孤独だけれどどこか強さのある佇まい。魅力的な人です。
ファッションやモードにはとんと疎い私ですが、フランスワールドカップの開会式でのサンローランコレクションには息を呑みました。子供の頃スーパーで買った洋服すらも全て彼のデザインのコピーなのだと初めて知りました。サファリルック、モンドリアン、タキシードドレス、etc,etc・・・・・・。彼の頭の中から、彼のデッサンから、女性ファッションのそのほとんどが生み出されたといっても過言ではないのでは。そして女性をなんとフェミニンに見せるドレスを作った人なんだろう!白衣のような服を着てアトリエで仕事をするサンローランは苦悩する哲学者か科学者のようにも見えました。
そして圧巻は2人の膨大な美術品コレクション。レンブラントが、ゴヤが、見事に計算しつくされて飾られた豪華な居宅。そしてそのコレクション全てがグラン・パレでオークションにかけられてゆくシーン。
終始サンローランの苦しみ、そしてそれを支え続けたベルジェの哀しみの愛に包まれた映画とも言えます。ピアノ曲が本当に良かった。ちなみにこれも4月のお話。